
❶ 単孔式腹腔鏡下手術
臍部に開けた創だけで腹部の手術を行う方法です。臍の中に創が隠れるため、術後傷痕(キズアト)はほとんどわからなくなります。胆石症、虫垂炎、鼠径ヘルニアの手術に応用します。
❷ 鼠径部ヘルニア(脱腸)について
鼠径部ヘルニアとは、脚の付け根(鼠径部)の筋肉の隙間から腸管や脂肪などの臓器が飛び出す病気です。治療法は手術によって隙間を修復します。近年では人工膜を用いた方法が一般的です。修復方法として、全身麻酔下に腹腔鏡をもちいて臍からアプローチする方法と、脊椎麻酔や局所麻酔で鼠径部に皮膚切開をおいて行う方法があり、患者様の希望や状態に応じて行います。臍からのアプローチの方が鼠径部に皮膚切開をおく方法よりも、術後の痛みは少ないとされています。臍からのアプローチの方法にはお腹の中からアプローチする方法と、お腹の外からアプローチする方法がありますが、後者はお腹の膜を傷つけることなく手術が行いえますので、当院では後者を第一選択としています。
❸ 虫垂炎(いわゆる‘モーチョー’)について
右下腹部から始まる大腸の足側に伸びる細い小さな臓器である虫垂が、その大腸への入り口が閉塞することによって、炎症を起こし、膿をためたり、破裂したりし、腹痛を来す病気です。状態に応じて、抗生剤による治療を行ったり、手術が必要になったりします。まずは腹腔鏡にて手術を行い、単孔式で手術が終了する場合もありますが、開腹手術が必要となることがあります。
❹ 胆嚢結石について
一般によく言われる胆石の多くは、胆嚢という肝臓の下面に存在する胆汁を蓄える袋に石が形成されるものです。無症状で経過することが多いですが、石が袋の出口に詰まることで、胆嚢の炎症を起こし、腹痛を発症します。一度、腹痛発作を起こすと、再度、胆嚢炎を来すことが多いです。平均寿命が延び、高齢になってから胆嚢炎を発症し手術ができなかったり、認知症で胆嚢炎症状を訴えることができなかったりすることがあります。手術については、その適応についてご気軽にご相談ください。